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連載 味覚の航路④ -学校帰りの楽しみ-
実家前の国道を挟み目の前に昔ながらの商店がある

”昔ながら”とは書いているが、今とは違いコンビニも無し大型ディスカウントスーパー
も無しの時代で近所の主婦にはとても重宝がられていた

当時から古びた感はあったものの
幼い私の心をくすぐるには充分な存在だった

学校から帰り台所に行くとテーブルの上には
60円が置いてある
必ず毎日60円

父母は仕事で子供たちより後に帰ってくる
いわゆる”鍵っ子”なので
そのお金でいい子にしてなさい的なことであろう

ランドセルを投げすぐに向かいに走り
当時60円の”グリコ”を買い
キャラメルを頬張りながら
おまけの玩具を開けていた

母は”グリコ”が買える丁度の金額をテーブルの上に
置いてくれているわけだが
たまに違うものも買っていた記憶がある

店の外には自動販売機も置いてあり
コーラやファンタは190ミリの瓶で販売していて
備え付けの栓抜きで開けて飲みながら家に帰ったこともある

ある寒い季節にいつものように買いに行くと
店内で老人たちが石油ストーブを囲み立ち飲みをしながら
談笑していた

恐らく座って飲食をすると許可的なことで面倒なことになるのか
買った後の商品だから何処で飲んでもいいじゃねえかということか
今となっては分からないことが多いが
とにかく店主の老人も気にも止めず談笑に参加していた

カップに入った日本酒を大事そうにちびりとやり
唇を濡らしながらタレに浸かったイカのツマミをこれまた
ちびりと食べて
子供だった私が店に入ってきても声を掛けることなく
とりとめのない話が続いていた

毎日の小さな楽しみは
少し大人の世界も垣間見える空間だった

店主が亡くなり
後を追うようにその妻も亡くなり

私が中学を卒業する頃には店が取り壊され
跡地に息子夫婦が家を建てていた

コンビニエンスストアが台頭し
大型店舗がシステムチックに生活を楽にさせる昨今
昔のような商店はニーズがないのは確かだが

”あの頃”の小さな楽しみがセピアになりながらも
キャラメルのあの甘さと共に記憶に残っている私には
やはりどこか淋しさを今でも感じている
















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