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無題
先日の出来事
修行時代から付き合いのある老夫婦のお客様にお店の前でばったり
以前は家に招いていただいたり、庭の掃除をお手伝いしたり、食事をご一緒したりと
なにかと可愛がってくださった方なのですが
久しぶりに食事にいらしたのかと思い話を聞いてみると
近所の、体に優しく食事ができるお店まで歩いて行かれるとのこと
最近少し体調を崩されて飲みたいお酒も食事も抑えているそうです
どうぞご自愛をと言葉を贈らせていただき別れたのですが
しばらくは心を打たれてしまいました
ずいぶん見ないうちにお二人とも青白く痩せられていたのです
旦那様の顔をみたとき私の顔はおそらく
不安と悲しみで歪んでいたでしょう
でも旦那様は優しい笑顔で、良くなったらまた来るよと言ってくれました
お店に飾る絵を贈るよと言ってくれました
頑張りなさい、また来るから
私は悔しい気持ちになりました
お店の料理を食べてもらうという
自分ができる唯一の恩返しが拒まれたのですから
「時間」が憎い 「老い」が憎い
何もできない自分に腹が立つ
口から出そうになる熱の燻りを冷ますように
その夜バーで飲んだジントニックの味は
数滴入れたアンゴスチュラ・ビターの苦みとともに体に沁みていきました
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